今夜BSフジで放送された、すし匠 ワイキキのオープンまでのドキュメンタリーを観ながら、またハワイのすし匠のことを思い出しました。わたしにとって、
四谷 すし匠は初めて訪れた22、23歳の時からずっと、15年もの間世界で一番好きなレストラン
でした。そしてそのすし匠は昨年すし匠 ワイキキに姿を変えて、今年また新たに私の中で(本当の意味で)世界一のレストランになりました。
内装はもちろん、浮かび上がる舞台のように美しくて。とにかく素晴らしい。そしてひとくち、中澤さんの握ったお鮨を口に運んだ瞬間に・・・
あっ、中澤さんのお鮨の味がする!
そう思いました。不思議なもので江戸前のお鮨は私の中では、ネタや仕込みが同じでも、握る人それぞれにまったく違う味がするのです。シャリの温度や香り、水分量や大きさ、そして握り方。ネタとのバランス。すべてにおいて中澤さんそのものの味だ、と懐かしい気持ちでいっぱいになりました。
と同時に、ひどく驚いたことは中澤さんのお鮨がハワイで進化を続けていたことでした。四谷では食べることができないお鮨がそこにはあって、
世界中でここだけでしか食べることができない唯一無二のお鮨。
話には聞いていたけれど、まさか・・・本当に!?心から驚きとそして感動が広がりました。
わたしは仕事がら海外に行くことが多いのですが、基本的に海外でお鮨は食べません。ネタは築地から仕入れ、高い輸送費をかけて各国に運ばれるお鮨は、当然東京で食べるよりも味も金額的にも技術的にも、わたしを満足させてくれることはないと思う。そのくらい、私にとってお鮨というものは思い入れが強い食べ物なのです。
そして毎回思うことですが、ハワイでの食事は食いしん坊の私にとっては正直好きになれないのです。なんだかいつも少し残念な気持ちになる。正直に告白すると、わたしにとってハワイは長い間、不毛地帯でした。
けれど、ここ、すし匠 ワイキキ だけは別です。
ハワイで最高の技術を持った天才、中澤さんのお鮨が食べられるのであればやはりここを訪れるしかない。
すし匠 ワイキキではじめて出会う味をゆっくりとかみ締めるように、堪能する時間はもうずっと永い間、待ち望んでいたものでした。しかもそれらはたくさんのアメリカ産のものが使われていて、
なんだ、これは!
という驚きに満ちていて。初めての味、初めての感動、初めての懐かしさがぐるぐると絶妙のバランスで降りてきた、という感じ。
けれどそこにはちゃんと、すし匠らしい味があって。
どれも恐ろしいほどに手間がかけられています。
築地から仕入れた魚をほとんどつかわない、という話を聞いた時には「まさか、何の冗談なの?」と心の中で思いました。そして事実、ここを訪れるまでは自分に「期待値を上げすぎないように」と何度も何度も言い聞かせていました。今はまだスタートして7ヶ月。少なくとも3年、5年は一緒に進化の夢が見られるはず、と。
が実際にお店でお鮨を口にしてみると、すでに想像していた3年目の期待値には達していて、その進化に言葉を失ったほどでした。とにかく素晴らしい。この店は本当の3年後はどうなってしまうんだろう、と。世界中からハワイにお鮨を食べにくるお客さんの姿がバババッと浮かびました。
事実、隣に座ったアメリカ人の常連さんはすでに4回この店を訪れていて、来月も楽しみにしているんだよ、と言って去っていきました。あああ、なんとまあ、羨ましい!
もしも、特別な日にハワイにいるとしたら。特別な日のディナーには(もちろん特別な日でなくても)リッツにある すし匠 ワイキキ をおすすめします。ちょっと予算オーバーだから、だとか自分には関係ない、なんて思うのは本当にもったいない。なんとしてでも、予約の席を押さえて一度は体験してみるべし。
すし匠 ワイキキのお鮨には人生を変えてしまうほどの感動やおいしさがある。
年に一度は、いや可能な限り時間をみつけて、何度でもまたハワイに出かけようと思う。こんなにも幸せな時間があるなら、やはりまだしばらくはがんばるしかないか、と自分を奮い立たせた素敵な夜、でした。
すし匠 ワイキキ
383 Kalaimoku Street Waikiki Beach
(808) 729-9717
※日曜定休
5 p.m. – 10:30 p.m.
①5 p.m. – 7:30 p.m.
②8 p.m. – 10:30 p.m.
[予約の仕方] お一人様$300(税金、飲み物別)
現地時間 午後2 時から午後4時の間に電話にて。
[キャンセル料について] 予約日時から48時間以内の予約取消しは、1名につき150ドルのキャンセルチャージがかかります。