DVDマラソン、最後の作品。
「普通の家族」をテーマにした作品。
いつもながら、是枝監督の物事を丁寧にあぶりだす繊細さにうなる。
人はみな、こころの澱を抱えているものなのだろうか。
ただ美しいだけでは、正論だけでは生きていけない。心にある残酷さや不安や不満はだまっているとどんどんと大きくなって、それを拠り所としてしまう。また年を取り老いていくことと、少年の未来あるまなざしはまったく正反対で対比させることでよりいっそう鮮やかに描き出される。
写真はサイトから拝借。作品を観るとなぜ「歩いても歩いても」なのかわかった瞬間、ヤラレタと思いますよ、きっと。
ここのところ注目されている監督の作品というのは、男女ともに実に自然なのだけれど、複雑な描写をしているという感じがした。地味なのに繊細、というべきか。時代がそれを望んでいるのだろうし、俳優たちも自然でかつ繊細な心の動き、そして的確に表現する力を必要とされているのかしら。
とにかく、私たちが考える家族ってこんな感じ、がこの映画には詰まっているのだ。音楽もすごくいい。穏やかで懐かしさを感じるゴンチチ。
もうすでに失った両親を思うときに、胸がぎゅっとするこの作品を思い出すかもしれない、とふと思った。いつかわたしも、面倒で、小さくて、ついついぞんざいに扱ってしまう、どうしようもない人たちのことをきっと愛すべき家族って呼ぶんだろうか。
それはまだわからない。